見た目で買いました。
Preonic keyboardとは
OLKBが設計・製造しているOrtholinear(格子配列)のキーボードです。
Ortholinearキーボードでは同じOLKBのPlanck(12x4の48キー)が恐らく最も有名です。Preonicはその姉妹キーボードで、数字列が追加されて12x5の最大60キーになっています。
また、完成品ではなくパーツ詰め合わせのDIYキットとして販売されていますが、はんだ付け不要キットとなっており、スイッチとキーキャップだけ準備すれば使用可能になります。
Planck, PreonicともにDropで販売していますが、時々しか在庫が追加されないため品切れのことも多いです。
Ortholinear
Preonicは縦横が揃った配列(OrthilinearとかGrid layoutとか)になっており、一般的なrow-staggeredよりもキーの密度が高い上に列が少ないためキーボード自体の横幅がかなり小さいです。
一般的なキーボードの物理配列はRow-staggered(横ずれ)配列です。上下のキーが斜めに並んでいますが、これは人間工学的な理由ではなく、かつてtypewriterだった時代のエンジニアリング的な制約のなごりとのこと。今となっては慣習以外に特に理由がないそうです*
何より見た目が特徴的できれいですね。
構成
- Keyboard: OLKB Preonic
- Case: Preonic Orange
- Switches: Gateron Ink v2 Black+ Gateron G Pro Red+ Gateron Oil King
- Keycaps: Epomaker XDA Dye-sub Dawn
スイッチもキーキャップもなんとなく買って放置していたありあわせですがそれっぽくなったのでヨシ。
アルファキーはBlack Ink、Modキーはめったに押さないキーがG Pro Red、よく押すキーはOil Kingに付け替えました。Black Inkが高すぎてケチったせいで数が足りなかっただけです。
最近タクタイルスイッチで68g程度の重めの荷重に慣れつつあるので、かつて重くて諦めたGateron Ink Blackもいつの間にか普通に使えるようになりました。最近は評判のよいリニアスイッチが多くなりすぎてInkも影に隠れがち(というかInkが高すぎる)です。
キーマップ
PreonicはPlanckと比べればキー数が多いとは言え、Ortholinearな上に12列しかないため、キーマップの最適化は必要だと思います。まず間違いなく既存の配列のままでは収まりません。
検索してもQMK configuratorを使ったリマップばかりがヒットしますが、Planck v4以降とPreonic v3以降は一応VIAのサポートリストにも載っており、VIA(もちろんRemapも)でGUIだけでリマップが可能です。これは届いて実際にやってみるまで自信が持てませんでしたが、やはりできました。
ただし、届いたそのままではVIAは使えないので以下の手順でVIA対応ファームウェアを書き込む必要があります。
VIA/REMAP導入手順
- VIAの公式サイトからPreonic_rev3のVIA用ファームウェア(.binファイル)をダウンロードします。
- QMK toolbox等を使用して1でダウンロードしたファームウェアをPreonicに書き込む。
- ここまででVIAは使用可能。Preonic_rev3はVIAにマージされているので、VIAを起動するだけで認識します。デフォルトで設定されているレイヤーは0-3の4つです。
- RemapにはPreonicはマージされていないため、使用するには.jsonファイルを取得する必要があります。githubのVIAのページにあります(the-via/keyboards/v3/olkb/preonic/rev3)。
- Remapにアクセスし、Preonicを選んで4で取得した.jsonファイルを選択するとリマップ可能になります。
キーの数自体は最大60と結構多いですが、通常のキーボードは横に最大14のキーが並んでいるのに対してPreonicは列の数が12しかなく、圧倒的に足りません。アルファキー(アルファベット)以外のキーはことごとく「見慣れた場所」には置けないため考える必要があります。
現状のキーマップ
Layer 0
会社のラップトップがJP配列固定のため、OSのキーボード配列をJPに揃えるためにJP配列でキーマップを定義しています。
色々と試したのですが、BSがR1、EnterがR3の右端でないと違和感が強かったのでこれを優先しました。また、英語では優先度が低いものの日本語だと頻発するハイフンも元の位置に近い形に残しています。BSの位置はどう考えても遠く、運指の効率が悪いのはわかっているのですが無意識に押してしまうので現状ここです。それでも通常の配列を思えばEnterとBSはかなり内側に来ているのでそれだけでも手が動く範囲は小さく済みます。
Speceは左で押すため右側はBSにしていますが上述の通り活用できていません。またSpaceの左右は変換と無変換(長押しでCtrlとAlt)で英かなを切り替えます。
また、Ortho初心者で違和感を克服できなかったのでR4は右に1つずらしています。右Shiftを使うことは少ないので弊害はほぼないですが、Aの下というホームポジションから近い場所が死んでいるので改善すべきとは思っています。
Layer 1
狂気のShiftレイヤーです。
JP配列でOSに認識させているので狂ってしまう記号系を強引にANSIと整合させています。こんなアホみたいなことができるのがカスタムキーボードっぽいところです。
Layer 2
アローキーとテンキーレイヤー。
デフォルトレイヤーからアローキーを追いやってしまったのでこのレイヤーに置いています。Ortholinearだと縦横に揃うので矢印の位置関係が理解しやすくて良いです。
右側が余るので数字を並べていますが、いかんせん普段テンキーを使わないせいで全然使いこなせていません。そもそも平時に数字を打つことがないです。
また、大量にキーが余っています。
Layer 3
余り。
ANSI配列で認識させるシステム用に使っても良いかもしれない…
2022-05-04追記。TG(3)でlayer 0とトグルするように設定。iPadOS用にANSI配列のままで動作するように変則なしで設定。
使ってみて
Ortholinear
横ずれが縦になるだけやろー、と思っていましたが全然別物でした。使い始めてすぐにどうにもならないと思ってR4を右に1つずらしました。
よくよくRow-staggeredのキーボードを見るとわかるのですが、行ごとに0.25または0.5Uずつずれているので、QとZは0.5-0.75Uもずれています。これが真下になるのでR4がものすごく違和感がありました。R4を右に1つずらすとかなり違和感が減りました。
少し慣れ始めると縦にまっすぐ並んでいることのメリットは結構感じられて、”DE”や”KI”がまっすぐ上下にくるので同指で続けて押しやすかったり、著しくキーボードの横幅が短くなることで手を動かす範囲が少なく済んだりします。特に右端に置いたEnterやBSはかなり近いので、端と言いつつもそんなに苦ではないです。
また、アローキーレイヤーやテンキーレイヤーとの相性が著しく良いです。
5x12
Preonicは最大5x12の60キーです。Planckの4x12より1行多いとは言うものの絶対数としては少ないです。
また、60%キーボード(61キー)と普通呼ばれる配列は横に14キー並ぶので2列足りず、右側の記号系のキーの位置が壊滅します。普通EnterやBSがある位置には何もないので、右側の配置は吟味する必要があります。
一方で、R5のキーがとても多いのでショートカットキーやレイヤーキーの割り振りに非常に余裕があります。Row-staggeredだとR5はあまり押さないのでこのキーの分布の違いも結構混乱しました。
配置が壊滅するせいでキーキャップもかなり相性があるので、Ortholinear用を買うか、XDAなどの列ごとの形状の差がないプロファイルを選べば埋めること自体は苦労しません。
角度
Preonicのケースは全く角度がないフラットケースなので、大きさや見た目は良いのですが打ちにくいです。何か台に乗せて角度をつけるとか、ゴム足を前後で高さを変えるようにして角度をつけるとよいと思います。
簡素なケースなぶん薄く軽くなっているので、これは諦めています。
見た目
良い。少々の使いにくさなんて忘れてしまった。
小さい
小さい。かわいい。
この記事はOLKB Preonicで書きました。